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おくぬ〜の『来た球を打つ!』

スイスと日本で活動する舞台俳優奥野晃士(あきひと)のブログ。

子供に伝えたい「日本らしさ」

Grüezi!

毎週水曜日はとても忙しい。

午前中はスイスの幼稚園、
そして、
午後は1時50分から娘の日本語幼稚園があるから。

しかも

今日は12時で終わるスイスの幼稚園から
先日紹介した娘のぼーいふれんどのルアンくんを連れて帰り、
お母さんに引き渡してから、
お弁当をもって日本語の幼稚園に行かなければならない。

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人様の子供を無事にあずかれるか?
弁当の用意、
無事に時間どうりのトラムに乗っていけるか?
その前にチケットが無事買えるか………

男は家からでると7人の敵がいるというが、
スイスではトラブルが待っている。

しかも、

幼稚園の日本人妻の皆様は

スイス生活もベテランの上、育児の上でも、
二人目、三人目という育児道黒帯の皆様で、
しかもスイスの社会にも皆様馴染んでらっしゃるようで、
その上、ドイツ語が堪能な方々も多くみうけられ、
ダブルでペーペーの私は、気後れしてしまいまくりになるのだ。

しかも来週は、
どうやら私が図書委員なる役割をこなさなければならないとのこと。
業務内容もなにも知らされていないが、誰に確認したらいいものやらよくわからない。

2000年にSPAC-静岡県舞台芸術センターに入団した頃のことを思い出す。

同期は20人、そのうち俳優は9人、
スズキ・トレーニング・メソッドの時間も、
我々新人はいつも入り口に近いところに陣取り、
中央で陣頭指揮をとる鈴木忠志氏が

「新人出ろ………」

と一声かかれば、
まるで忍者のように俊敏に移動し、
銃口をつきつけるような眼差しを送る鈴木氏の前に立つ。

どこから弾が飛んでくるかわからない戦場に立つ
緊張感が氏の稽古場にはあった。

時は流れ………

15年たった今、
SPACで周りを見渡せばほとんどが後輩。

しかしながら、去年スイスの地に住みはじめ、ドイツ語もろくに解さない私は、
まさにこの国の、しかも日本人コミュニティーにおいては「新人」そのもの。
話に花を咲かせている奥様方を尻目に、
なるべく目立たぬよう一人ベンチに座って終業時間を待つ。

授業の終わりの時間になると
図書委員とおぼしき方々が本の貸し出しの準備を手際よくやっている。

「あれか、来週私が当番でやる予定の図書の貸し出しは………」


先生の授業内容の報告よりそちらの方が気になった。

とにかく、顔見知りの奥様の何人かは挨拶してくれるが、
特に世間話に花を咲かせる相手もおらず、
端っこで小さくなってるうちに散会となったとき、
一人の女性が話しかけてくれた。

「先週奥様にお話したんですけど聞いてくれました?」

何か話を聞いた気もするが、とにかく頭は来週の図書委員のことでいっぱいで、
比較的自信を持って

「ああ、図書委員の件ですよね?」

とお答えするも、

「違います。実は、今度はじめてパフォーマンス・イベントを企画してるんですけど、
内容がイマイチ固まっておらず、よかったら相談に乗ってくれないかなと思って………。
でも今日役員の方があまり来てないようなんですよね………、お時間あります?」


そういえば一言先週ワイフから聞いた気がする。

なんだか、

日本人幼稚園の役員の方々が、
自分自身を必要としてくれてることに、恐れ多い気さえした。

そのうち、

役員で企画実行委員長のようなママさんにも面通し。
この方は以前、幼稚園の保護者アンケートで、
保護者の職業や特技などについて書く欄に、
舞台俳優という職業や、合気道や日本舞踊という特技に、
大変関心を示して話しかけてくださった方だ。

その方によると、

近くの教会を来年3月20日に予約しており、
そこで何か文化イベントができたらと思っているのだが、

日本人幼稚園がはじまって5年くらいたつが、
イベントの試みははじめて。

スイスでもママさんたちの読み聞かせの催しは盛んだそうだが、
日本人のママさんの間からも文化的イベントの開催を切望する声は高いらしく、
アドヴァイスをということでした。

そうこうしているうちに

音大出身のママさんが登場、コーラスというご提案、
また、違うママさんからはバザーをという話にもなった。


伝統習慣礼儀等々、多くの場合

「日本らしさ」

は美徳と捉えられることが多いように思う。

幕末に日本を訪れた外国人たちは一様に日本の文化や教育レベルの高さにおどろき、
とりわけ、子供達の利発さに目を見張ったという。

日米和親条約を結んだペリーは、

「一度西洋の技術を日本人が手に入れたら、すぐに強力なライバルになるであろう」

と語った話は有名だが、

とにかく、異国で成長する我が子が「日本らしさ」ということを
十分伝えられないまま成長するんじゃないかという不安が私にもある。

日本語を十分に話せないまま成長した子供が

「なんで日本語をしゃべれるよう教育してくれなかったんだ」

と親を責めることもよくあるそうだ。

何か自分がこれまで培ってきたものが
お役に立てたらいいなと思った。









Tschüss!




奥野晃士




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スイスで食す、ウコン入り「バーモントカレー」!

Grüezi!

今日は久しぶりに日本のカレーを作った。

やはり日本人はカレーが好きな人が多い。

イチローは毎朝カレーを食べるそうだし、
司馬遼太郎も、街道をゆくでカレーばかり食べてる。
かの高倉健もビストロスマップに出演し、
わざわざカレーを注文していた。

スイスにも日本のカレーを持ち込み、
時折食べているが、
スイス人に振舞っても結構好評。

今回は半額鶏肉を大量に冷凍してたのでそれを使う。

しかも、ハンガリー産の肉は農薬まみれだからと
ワイフからウコンでデトックスの指令がでた。

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はじめて生ウコンを見る。

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皮はフォークでも簡単にむけ、

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100均で買ったまな板についていたおろしでいとももろくもすりあがった。

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それを鶏肉にまぶし、

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30分くらいつけおいた。

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野菜を切っていため、鶏肉と一緒にし、水を入れる。

火を止め、ルーを入れて、

弱火でさらに煮込むこと10分。

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ウコンのおかげか、とてもコクのあるカレーができた。

しばらくカレー三昧になりそうだ。


Tschüss!




奥野晃士


庭の花………

Grüezi!

今日は1日家にいた。
日本でのプロジェクトの詰めやらもろもろ、
朝は雨だったようだが、日中は青空がのぞく晴天。

午前中で幼稚園は終わるのだが、
今日は午後はホルトが預かってくれるありがたい日なので、
LINEやらで話をつめる。

やはりメールだけではなかなかイメージの共有が難しい。
そんなとき、スカイプとかLINEは本当にありがたい。

ドラえもんの道具ランキングでダントツ1位が”どこでもドア”だそうだが、
歴史演談などのツアーの予定を決める際などは
本当にどこでもドアがあったらいいなと思う。

自室にこもって一人作業も嫌いではないが、
庭に目をやると、
ワイフがママ友からもらってきた花が植えてあるのを目にする。

スイスの人は花をとても大事にしていて、
ベランダ花まみれのおうちもよく見かける。

そこに花が植えられているかいないかで
庭の雰囲気も全然違うし、てきめんに心を癒してくれる存在であるのに
はじめて気がついたようだ。

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これも生き物から受けるささやかな幸福だろう。



Tschüss!




奥野晃士

ウィンタータイムに

Grüezi!

この前の日曜
なんと
1時間時間を遅らせるウィンタータームに
はいったことを朝知った。

夏時間の時は日本との時差は7時間
10月25日からは8時間になった。

この日は1時間多めにいただけた感じだ。

出勤日だったワイフも、ゆっくりとお茶を飲めたし、
値千金のウインタータイム変更日となった。

朝夕の冷え込みは厳しく、
落ち葉はここでも美しい。

サッカー少年たちが駆け回るグラウンドに映える
ノスタルジックな夕日もまた心をうばわれる。

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Tschüss!




奥野晃士

ドイツ語で『ROCKYⅡ』鑑賞!

Grüezi!

『ROCKY 2』をドイツ語で観た。

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ずいぶん前に安売りで買ったのだが
観る機会を逸していた。

80年代『ロッキー4』が公開されたが、
それに合わせてテレビでもよく上映されていたロッキーシリーズのなかで
一番最初にみたのが2だったから、
何度となく繰り返しビデオで観て、
9月にスイスに来るときも機内映画でROCKY2をみていたので、
だいたいのセリフは何を言ってるかわかったが、
ドイツ語だとなかなか知ってる単語をキャッチするまでにはいたらなかった。

しかしながら、

冒頭、

アポロとの一回目の試合のシーンで、14ラウンドにロッキーがダウンするシーン、
ちょうど曲も盛り上がり、トレーナーのミッキーが

「起きるな、そのままでいろ!」

と、声をかけるシーンのバックで、
レフリーのカウントがドイツ語だと、かなり違和感。

「1(アイン)、2(ツバイン)、3(ドライ)………」

この辺まではいいが

「6(ゼックス)、7(シーブン)、8(アハト)」

この辺かなり笑えた。

英語でもいいんじゃないかな………なんて………。


あと、

「I love you」

というセリフもやたら出てくるが、

「Ich liebe dich(イヒ リーベ ディヒ)」

は、どうも………。

2では死闘を演じたアポロとの試合で目を怪我し、
妻になるエイドリアンの希望もあって、
ロッキーは引退を決意し、CMで稼げるはずが、なかなかうまくいかず、
いろいろ仕事を探すがなかなかいい仕事がみつからない。

しかも高級車を買ったり、いい家に引っ越したり、その上妻が妊娠してるので、
焦るが、
結局リングに戻ってくる。

高校時代にこの映画をみて、

「こうはなるまい」

と思ったが、
結局、この映画のような人生を送る羽目になっているような………。


最初、アポロとの再戦を決意するも妻の同意が得られず、
稽古にも身が入らない。
しかも、
臨月でも家計をささえるため仕事をして、
仕事場で倒れて、早産。
意識不明の重体。

ロッキーは稽古をせずにじっと枕元で回復を待つ。
妻が目をさまし、子供とも対面、そして、妻が耳元でささやく………

「gewinnen(勝って)Rocky gewinnen………」

英語では

「Win Rocky Win」

だったと思うが、

その直後のトレーニングのシーンで
このセリフのTシャツをロッキーが着て縄跳びをしているが………。

妻の一言でエンジンがかかる。

『ロッキー』というキャラは、
とても精神性を重んじていると思う。

試合当日も、

試合会場に行く前に教会を訪ね、神父に祈りを乞うたりしたおかげで遅刻。
コスチュームに着替えたあとも、洗面所で祈る。
リングの上でも試合開始前に祈る………。

信仰が肉体を超越するという考えは、『炎のランナー』とかにも見られるが、
ロッキーは妻やトレーナーの支えがあってはじめて勝てる。

友情や愛情が奇跡をもたらすのだ。

80年代は今よりシンプルな価値観が通用した時代だったかもしれない。

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そして、

ちょっと前から話題の最新映画

ロッキーの対戦相手で
3ではロッキーのトレーナーを買ってで、
4で旧ソ連のボクサーとの試合でリングで死ぬアポロ・クリードの息子が
ロッキーが鍛える映画

「クリード」

が公開されるとのこと。

映画『クリード チャンプを継ぐ男』予告編

「ロッキーザファイナル」

もよかったが、
これは見逃せない。

Tschüss!




奥野晃士

スイス名物Zopf (編みパン)作り

Grüezi!

今日は娘とお留守番、
与えられたミッションはZopf 作り。

日本語の表記はツォップが一般的のようだ。
『編みパン』という注釈もよくみかける。

レシピによると

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まず、小麦粉1キロに塩を大さじいっぱい弱をまぜる。

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すこしあたためた牛乳600ccを流し込む。

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そこにイースト菌

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砂糖も少々、
バターも120g

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こねる!

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そして暖かいところにおいて待つこと90分、
イースト菌の働きで、倍ぐらいの大きさになっている。


そこから二本の棒をつくり、それを編み込む。

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たまごの黄身を表面に塗って

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あとはオーブンでで焼くだけ。



パンというと、

ライフワーク『歴史演談』でよく取り上げさせていただいている

『前を歩く人〜坦庵公との1日〜』

江川太郎左衛門英龍さんは、
日本で最初にパンを焼いて食した”パン祖”と言われている。

また、

あんぱんで有名な木村屋を興したのは、
明治維新で失業した旧幕臣木村安兵衛
50代半ばでパンに出会い、饅頭をみてあんぱんを思いついたそうだが、
当時はビール酵母で発酵させてたのでなかなかうまく焼けなかったが、
酒粕に変えたことで、完成にこぎつけたそうだ。

旧幕臣の多くは、明治時代職にあぶれ、商売をしても武士の商法で失敗し、
娘を身売りに出す者も少なくなかったそうだ。

徳川慶喜の護衛で静岡に来ていた精鋭隊が
荒れ野だった牧之原台地を開墾し大茶園を築き上げるのだが、
途中で挫折した者も多かったという。

自分で書いた書画を売ったりして、陰から救済していた
旧幕臣で明治天皇の侍従をしていた山岡鉄舟は、
あんぱんの虜になり、毎日食べていた。

しかも、

外見は西洋のパンだが、中身は日本のあんこ………
これぞ『和魂洋才』という国家スローガンにぴったりだと思ったそうだ。

そして、

新国家のポリシーを具現化して国民に伝えるにも好都合と、
何とか普及させるために一計を案じる。

それは明治天皇の花見巡行での献上だ。

夫人の案で、塩漬けの桜の花びらをセンターにあしらったあんぱんを食した明治天皇は一言こういったという。

「引き続き、納めるように………」


スイスでパン中心の生活をしていると、
あんぱんを食べたくなる時がある。

今回はZopfだが、いずれあんぱんを作って
スイス人に振る舞いたいものだ。

あんぱん誕生に秘められた歴史秘話を熱く語りながら………。

嫌がられるかな………?


パンを1から10まで一人で作るのはじめてにしては、

われながらいい感じでできたと思う。

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いつもお世話になってる方々におすそ分け!



Tschüss!




奥野晃士

Bernでの教会企画”halbeins(12時半)ーWort Musik Stille(朗読、音楽、静けさ)”

Grüezi!

異国で日本舞踊を躍るという公演に参加したのは、
スイスでは義母の誕生会も合わせると昨日で3回目、

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そのすべての音楽を担当してくれたのが、
イザベルさんだったが、
昨日の公演はイザベルさんがキャスティングを担当している
ベルン駅前の教会で毎週水曜の12時半から開催されている

『halbeins(12時半)ーWort Musik Stille(朗読、音楽、静けさ)』

という企画に出演するためだ。

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しかもダンサーとして………。

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ドイツ語で一番驚いたのが、時間の呼び方だ。

タイトルの"halbein"
"halb" は、半分、"eine"は1、

つまり

『12時の30分(過ぎ)』というのではなく、
『1時から(遡ること)30分』と表現するわけだ。

足し算ではなく引き算の思考なのだ。

急にオファーがきたので、前日の夜は不安にかられた。
ベルンにいく心の準備が整っていないようだった。

しかも当日、朝からお向かいに住むママ友がうちに来て(しかも20分以上も早く)居間で治療会を始めたり、
最寄りのトラムでベルンまでのチケットを買えなかったり、
チューリッヒ駅で買ったチケットがBern行きのではなく、Basel行きだったり………

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いろいろトラブルはあったが、
なんとかスイスの首都Bernに到着。

イザベルさんのスタジオでのリハに臨む。

イザベルさんはもともと、義母が通っている日本語教室のクラスメイト、
義母に紹介していただいた。

スイスには外国の言語を学んでいる人が多い。
しかも、それなりに喋れるようになる人もいるのだ。

義母も片言ながら日本語を話す。
イザベルさんは、この夏2ヶ月日本に滞在し、日本語学校に通うほどの熱心さ。

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しかも1年前から合気道も学んでいるのだそうだ。

しかも一昨年の秋には、
写真家のパートナーさんと日本を二ヶ月旅しており、
新潟にも行ったことがあったらしく、
Noismの拠点のあるりゅーとぴあにも行ったことがあることがわかった。
回廊があって、ドーム型のきれいな劇場との評だった。

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今年の9月に続き、来年の1月も『カルメン』でお世話になることを伝えると、またもの奇遇さ。

Noism『カルメン』新潟公演
Noism『カルメン』横浜公演

新潟の海で沈む夕日を見たいと地図を広げてたとき、親切なお店のご主人が、わざわざ車を出して、
海まで送ってくれたそうだ。
奥さんは弁当をもたせてくださったとか。
親切な新潟の人との思い出を懐かしそうに語ってくれた。

イザベルさんは尺八の腕も相当なもので、
この日の公演は5曲すべて尺八で奏でるということを当日知った。

創世記のバベルの塔の下りを読むと、
それによると、かつて地球上の言葉は一つだった。
しかし神が降臨し、天にも届くバベルの塔を人が作っているのをみて危惧し、

「人間は言葉が同じなため、このようなことを始めた。
人々の言語を乱し、通じない違う言葉を話させるようにしよう」


と言って、人間たちの言葉を通じなくし、塔の建設をやめさせ、
世界各地へ散らばって行かせた。

スイスに住んでると、よくこの逸話を思い出す。

ドイツ語しか話さないお年寄りがうちのアパートにいるが、

「Grüezi!(グリューエッツィー)」


と挨拶するくらいが精一杯だ。

急にお互い言葉が通じなくなったから、
神は自らの手を汚さず、バベルの塔プロジェクトを頓挫せしめてしまうわけだ。


スイスはこの日本の九州ほどの小さな面積の中で、
4つの公用語が話されている。

6割がドイツ語
2割がフランス語
1割弱がイタリア語
ロマンシュ語にいたっては絶滅の危機に瀕しているが、

おしなべて言語に堪能な人が多く、
3カ国語に通じてるのは当たり前って感じであるが、

イザベルもまた言語に堪能なので
私の度胸英語でもなんとかコミュニケーションがとれるが、
なぜかイザベルさんとは英語でのコミュニケーションがとりやすいのも、
変に相手をコントロールしようとせず、無心に取り組んでくれるからだろう。

日本語が通じても、共同作業をするのが難しい人もいる。

舞台芸術作品をつくるのに、良い作品ができる時って、
暗黙のうちに規律ができていることが多い。

孫子の兵法に

『敵を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず』

という言葉があるが、

プロは己を知り、乗り越えるべき壁も知っており、
それをクリアするためには高い技術と己を律する心を持っていることが重要であり、
それは自分を客観視する能力に長けているといえるかもしれない。


約30分のリハを終え、
本番30分前に教会に到着。

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舞台の打ち合わせ、朗読者のおばさんや教会の責任者への挨拶、
着替え、そして、本番。

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すべてがギリギリだった。

一曲目、オープニング、尺八ソロのはずが現場で私も舞うことになり、
ゆっくりイザベルの周りを歩くだけにした。
朗読者からの紹介があり、
朗読、終了後に
二曲目『さくらさくら』に合せた舞、
そして朗読あと、

やらかしてしまった三曲目(。>ω<。)ノ

カタツムリが手紙を食べる音を尺八で構成してもらい、それに驚く人間を演じるはずが、
四曲目のあくせく働く人間が、カタツムリのスローテンポにインスパイアされる舞の出だしの
供奴(ともやっこ)ランニングに入ってしまった。
途中から気付いてなんとか辻褄を合わせ、
席に着いてから小声でイザベルに

「Sorry」

といったら

「No problem」

と笑顔でウインク。
こっちの人はウインクという表現を器用に使いこなすのだ。

しかし、席で朗読を聞いている間に考えた。
四曲目の出だしはもう供奴は使えない。
しかしあくせく働く人間を表現するには………?

「そうだ、太郎冠者(たろうかじゃ)がある!」

日舞を修行しはじめた時、
二曲目に教わったのが

『末広がり』

という御祝儀舞だった。
花柳秀七郎師匠と二人での合い舞だったが、私の役は太郎冠者だった。

やがて朗読が終わり、四曲目も太郎冠者がまんまと図にあたりクリア、
五曲目、病室で死をみつめるジャーナリストの心の内を

『とうりゃんせ』

であらわす。

扇で顔を隠し、後ろ向きに立つ私の周りを
尺八を吹きながら歩いていただくことにしたのだが、
手持ちの楽器とのコラボは場所を動けるから表現の幅も広がる。

最後の曲は花道退場しながら奥で交差し、また舞台に戻ってきて終演。

おかげさまで拍手喝さいだった。

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普段は20人前後の客席だそうだが、
この日は倍近くの人が席を埋めてくれてた。

日本の文化の一端を披露できたのは意義深く、

『sehr schöne(とても美しかった)Danke(ありがとう)』

をなんども繰り返してくれるシニアの方もいたりして、
とても嬉しいひと時だった。

朗読と音楽のイベントに『静けさ』が入っていた今回のイベント、
これまさに教会という空間の持つ荘厳さにはうってつけの企画で、
さらに、
現代の能と呼ばれ、

「great stop(偉大なる静止)』

と海外で形容され、評された鈴木演劇によって
培われた身体表現をベースにした舞には
企画、空間ともに素晴らしいマッチングだった。

ベルン在住の義父母はじめ友人たちも観に来てくださり、
帰りは菜食主義者のイザベルさん行きつけの店で昼食。
私のためにごちそうまでしてくださった。

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お声がけいただいたイザベルさん、本当にありがとう!

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Tschüss!




奥野晃士

Bernで急遽出演!命から受ける幸福とは?

Grüezi!

今日は朝からフルートAND尺八奏者のイザベルと打ち合わせ。

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イザベルは先月『蜘蛛の糸』の際にお願いした
フルートと尺八のスペシャリスト。

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October 01 2015 スイスでの第一弾『蜘蛛の糸』で舞語りました!

イザベルが自身が演目構成でもかかわっている、
ベルンの駅前の教会で毎週水曜の12時半から開かれる
”文学と音楽と静けさ、午後のひととき”みたいなイベントへの共演の
お誘いをいただいたからだ。

そこは、

”公共教会”とでもいうのか、
市民に開かれている場所で、
イベントの趣旨も、
慌ただしい日常の喧騒から離れひとときの憩いを市民に提供する時間だそうだ。

しかも、

今回は言葉には頼れない、舞踊のみの出演。
舞踊家としてのオファーだ。
恐れ入った。

ゆうべワイフに送られてきたテキストを訳してもらったが、
なかなか奥が深い文だった。

内容は、

あるジャーナリストがヨーロッパで難病にかかり入院をする。
働き盛りの日々をベッドの上で過ごし、失意の日々を送る。
そこに、友人が病室にスミレとともに、一匹のカタツムリを差し入れる。

最初はなぜカタツムリなんか………と呆れるジャーナリスト。

しかし、翌日、手紙の封筒に四角い小さな穴が空いているのをみつける。
どうもカタツムリが食べたらしい。
そこからジャーナリストのカタツムリ観察がはじまる。


人間健康を害すると、
とても悲観的になる。

私も2004年初演の鈴木忠志演出『別冊谷崎潤一郎』ではじめて
池田友之丞という大役を任された時、

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厳しい稽古で椎間板ヘルニアになり、晴れて腰痛持ちになった。
そのまま腰痛とつきあいながら舞台に立ち続けてきたが、
2007年にはまず座れなくなり、次に走れなくなり、
そのうちまともに歩けなくなり、
年末には公演中にとうとう立てなくなった。

公演前には鈴木演劇のためなら一生歩けなくなってもしょうがないと思っていたが、
いざ公演が終わって、体の自由がきかなくなってる自分と向き合った時、
自分はまったく価値のない人間のように思えた。

そんな時、ありがたかったのが

外部からの依頼により、シニア市民の皆様に演劇を教えるワークショップを実行に移せたこと。

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あと、スノドカフェさんとの出会い、
そして、大阪や東京で立ち上げた『古典戯曲を読む会』
2008年6月から静岡でもスノドカフェを会場にやらせていただけたこと。

これらは未だに月一のペースで続けられているのだが、

稽古場を飛び出し、劇場を離れた場所で演劇を通じた
市井の人々との交流のひとときによって、
元気をもらえたし、自分の価値を見出せたように感じた。

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最近大統領の座を退いたことで、
またまた注目を集めているウルグアイのムヒか元大統領も言っていたが、
大量消費社会にいる今の世の中の人たちに、
幸福という価値観について、
とても示唆に富んだ発言をしているのを聞いた。

曰く

「幸せというのは物からは与えられない。必ず命あるものから与えられる」

プロとして自分を高めることはおろか、
舞台にカムバックできるか否か、ぎりぎりの狭間にあって、
リタイアしたシニアの方々や読む会で出会う一般の方々との交流の経験が、
鈴木忠志氏が芸術総監督を勇退したあとの、
あらたな環境において、私に命を吹き込み、変化に対応する柔軟性を与え、
身内からのバッシングにも怯むことなく、
信念を貫く強さを持てた。

その結果、現在も継続的に行われている、
『リーディング・カフェ』をはじめとする、アウトリーチ企画を生み出し、
それがひいてはSPACという組織にとっても有益な結果をもたらしたということは
今考えてもとても面白い結果だ。


ドラッガーも『マネジメント』で、

『企業の目的は顧客の創出である』ということを言っています。

この点は我々舞台芸術の業界も常に最重要課題になっている。
東京一極集中の脱却、地方からの芸術創造発信の潮流は全国に広がっているが、
『顧客の創出』ということが最も重要な課題であり、最も苦労しているところであろう。


文化事業とかをやってる人でも、
『狩猟民族的思考』で、数字をあげることにやっきになっている人が多い。

私はどうしても『農耕民族的思考』でアウトリーチ活動をやってきたようだ。

シェイクハンド


舞台芸術は生きた芸術だ。
携わるものとしては、生の交流、有機性にこだわりたいところだ。

劇場を飛び出して足を運び、語り、少数に対して、しっかり向かい合って、交流する。


命から受ける感動が、人々を幸福にするということを、
身を以て体験し、それによって救われたわけだし、
そんな恩返しのような気持ちで、今でも『リーディング・カフェ』をやるときは
ついついサービスして時間が長くなってしまうし、
『ワークショップ』の時は声がかれてしまうこともある。

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文化事業で難しいのは、すぐに結果がでないこと。
しかし、信念をもって継続していると、確実に効果が現れる。

しかし、これまでの活動を通じていえることは、
一気に20人の団体さんを客席に座らせるような派手な効果は出せないかもしれないが、
5年で20回チケットを買って客席に座ってくれる人を大勢みつけることができた。

命の交流によって感じた幸福こそ、人には必要であり、
そういう場に人は集まるのだ。

それまさに、命から感動を与えられる舞台芸術の存在意義にもつながろう。

そんなみにつまされる作品と今回出会えた。
明日が楽しみであり、緊張する。

早く寝なければ………。


明日、12時半からベルン駅前の教会にて、

halb eins – Wort, Musik, Stille

10月21日(水)12時半から

in the Heiliggeist Church in Bern

http://www.offene-kirche.ch/angebote/tag-fuer-tag-wochenangebote/halb-eins/




Tschüss!

奥野晃士


宮沢賢治の『オツベルと象』を前に、動読の原点

Grüezi.


いよいよ11月21日と28日、『動読』公演をスイスで行えることになった。

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きっかけは、

昨年、ウースターの日本人学校の隣の建物で朗読劇が開催されるというので、
知り合って間もない直美さんに連れて行っていただいたこと………一年近く前だ。

今回の動読劇は、

そこで『オツベルと象』を朗読上演していた押川恵美さんのお誘いで実現することになった。

恵美さんは七転舎系派生劇団の「上海劇場」への出演経験や、
あとは劇団夜行館(状況劇場から派生)の守鏡丸さんの台本をかいたり
夜行館の全国公演に出演したり、
ご自分で百鬼館という劇団を作って小屋がけ芝居をしたりして、
東京のアンダーグラウンド系の小劇団で活動していたそうだ。

七転舎の主宰者の木村真悟さんは東京で小屋付きの演劇活動を行ってきた芸術家。
早稲田小劇場や転形劇場などの考えに通じているのだと思う。
現在もストアハウスカンパニーという劇団で活動をしながら
劇場運営をされているようだ。

about ストアハウスカンパニー

とにかくスイスで日本のアングラシーンで活動経験のある表現者とお目にかかれるとは思っていなかった。

その上、大の賢治フアン、スイスにも「宮沢賢治全1冊」という本を一冊だけ持ち込んだという。
熱い思いにつきうごかされ、一人で公演活動を行ってきたそうだが、
一人では限界を感じたから演出をお願いしたいというのが、はじめの恵美さんからの申し出だった。

しかし、いつのまにか構成・演出・出演という重責を担わさせていただくことになり、
バイオリニストの赤木春次さんを紹介していただいた。

作品は恵美さんの思い入れの深い『オツベルと象』にさせていただく。

最初は恵美さんの最終目標である『銀河鉄道の夜』になりそうだったが、
まずは手堅く布石を打つ方がよいとの判断から
あえて作品はマイナーではあるが、恵美さんの十八番でのチャレンジとさせていただくことにした。

しかし、

早速出来上がったチラシなどを、出会った日本人に配ると、必ず聞かれるのが

「動読って何ですか?」

ということ。
無理もない、奥野の造語ですから………。

SPACでは2009年から『朗読とピアノの午後』という公演をおこなってた。

劇場のロビーに置いてあったスタンウェイのピアノを有効活用すべく、
大岡淳氏が演出で俳優の読みたい作品をピアニストさんとのコラボでお届けする企画。

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終演後はカフェで観客の皆様と交流しながらダイレクトに感想をいただけたりというのも
表現者として貴重な経験だし、
自己の表現の幅を広げるとてもいいチャレンジで、私も毎回参加していたのだが、
参加者の方々からよくこんな質問を受けるようになった。

「奥野さんの公演も、あれも”朗読”なんですか?それともあれは”一人芝居”になるんですか?」

そんな時私はいつも冗談で、

「いえ、あれは"朗読"ではなくて、”動いて読む”と書いて"動読(どうどく)"っていうんですよ」

それを聞いて失笑する人もいれば、

「うまいこと言いますね」

と感心してくれる人もいた。

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中でも、元々広告のプロで、静岡県内様々な所でブレーンとして活躍されてる
静岡大学の平野雅彦先生が、

>「動読って響きもいいですねー」

とか言ってくれたことがあって、
先生がそう言うなら………と思って、
それ以来、少しづつ意識して使うようになっていった。


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『平野雅彦ならこう考える』

元々、文字言語で表現された文学作品を音声言語で表現する芸術が朗読であるなら、

動読は、音声言語身体言語を加えた表現だ!といったところか………。

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感情をこめて読み上げる朗読は、
やはりアナウンサーさんや新劇俳優さん達がお上手だと思う。

特に私などは鈴木忠志氏の薫陶を受けてきたもので、
動読は基本的に、呼吸の詰め開き、音階、視線や顔の向きといった
肉体から発する情報を重視し、構成する。

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俳優の演技というのはつまるところ、
身体言葉同時に操って、情報を発信すること
だと思う。

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人々をいかに惹きつけるかということを、
心理面からのアプローチではなく、
身体面からのアプローチで構成する。

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左手に台本を持ち、右手には小道具を持つというスタイルも
奥野流と言われる部分であるが、

靴べら、しゃもじ、万年筆、フォーク………

最近はジュネーブの蚤の市でゲットした乗馬用の鞭がお気に入りだが、

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扇子を煙管や筆、釣竿など、様々な物に変化させる日本舞踊の要素を
動読にも取り入れていることに、みずから顧みて気がついた。

ゴーシュ


今や動読は、市民の皆様によって、少しづつ実行されている。
静岡大学の平野雅彦先生の授業でも、実験的に取り入れられたりもした。

稽古2

そんな、今のスタイルを確立するまでには、
様々な道のりがあったわけだが、

SPACを立ち上げ、鈴木演劇を叩き込んでくださった鈴木忠志氏をはじめ、
ロビーでの企画を実行してくださった、宮城總SPAC芸術総監督、
そして、ご無理を聞いてくださった音楽家の皆様、

何より、構成、演出を担当してくれた大岡淳氏がいなければ、
できなかったと思う。

本公演と違い、劇場のロビーの一角を借りての稽古の日々は、
公演の合間とか、千秋楽直後とかに行われたので、時間との戦いだったが、
多少恵まれていない環境に追い込まれた方が、クリエイティビティーは発揮されるものだ。

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大岡氏と、実力ある音楽家さんたちと共に取り組んだことは、
改めて自分の財産になっていると思うので、
今回スイスでの作品づくりを始めたとき、
これまでの道のりを思うと感謝の気持ちでいっぱいになる。

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その大岡氏は、この秋いよいよSPACの本拠地、静岡芸術劇場での上演が決まっている。

ギリシャ喜劇、アリストパネスの『鳥』が原作の大岡淳脚本演出の
『王国、空を飛ぶ!』である。

これまで、何作品も一緒に作品を作ってきた大岡氏初の静岡芸術劇場でのSPAC本公演で、
いわば演出家として晴れの舞台だ。

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しかも、

記念すべき私の『朗読とピアノの午後』初出演時の時コンビを組んだピアニストの渡会美帆さんが、
作曲と演奏で参加しているという。
静岡では本番直前、出演者共々テンションうなぎのぼりだろう。

そんな中、私は遠くスイスでイクメン奮闘中………なんだか焦燥感にかられるが………。

しかも、初日10月31日、皮肉にも私の誕生日である。

稽古の様子などの写真などを垣間見るだに、作品としてとても面白そうである。
スイスから公演の成功を祈っている。

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王国、空を飛ぶ!~アリストパネスの『鳥』~

そして、

昨日、今京都にいらっしゃる赤木さんと、FaceTimeで打ち合わせをしました。
まだお目にかかったことがなかったので、
一度方向性をすり合わせる必要があると思って、お願いをしました。

とにかく、かなりのベテランの方。

もともとクラッシックのバイオリニストで、
作曲も即興演奏もやったことがほとんどないという赤木さん、
最初はなかなかイメージも湧いてこないとおっしゃってたが、
普通それも無理もないこと。

あらかじめ、音楽の挿入希望箇所を記した台本を作成し、
送らせていただいていたのですが、
なかなかピンとこられないご様子だったので、
奥野が実際に声に出して読みながら、曲のイメージなどのすり合わせをした。

11月に赤木さんが日本からスイスに戻ってくるので、
バイオリンを使った稽古を早急に始める約束をする。

先月の舞語りコンサート『蜘蛛の糸』に続く、スイスでの第二弾、
頑張ります!

『オツベルと象 Otubel und der weisse Elefant』
Lesetheater 動読劇 日本語公演・ドイツ語字幕付

2015 年 11 月 21 日(土) 20:00—21:00
Theater Schwyz /Bahnhofstrasse 178 6423 Seewen / Schwyz
21.11.2015 (Sa) (Schwyz 駅下車徒歩 4 分)
http://www.theater-schwyz.ch/theater-schwyz/theater-schwyz.html

2015 年 11 月 28 日(土)20:30—21:30
Zentrum Karl der Grosse/ Kirchgasse 14
8001 Zürich 28.11.2015 (Sa)
https://www.stadt-zuerich.ch/sd/de/index/soziokultur/karl.html

入場料 Eintritt 25 Sfr Student -AHV 20 Sfr Kinder (7bis16Jahre alt )10 Sfr
Reservation emi.oshikawa@bluewin.ch
Sponsor : Kulturkommission Gemeinde Schwyz
宮沢賢治 Kenji Miyazawa・・・作 Autor
Japanisch mit deutschen Untertiteln
奥野晃士 Akihito Okuno・・・構成演出・動読 Bearbeitung, Regie, szenische Lesung
赤木春次 Shunji Akagi ・・・ヴァイオリン Geige
押川恵美 Emi Oshikawa・・・動読 szenische Lesung
白崎泰子 Yasuko Shirasaki・・・技術 Technik
企画・制作/Emi Project

スイスワンダーネット『オツベルと象』




Tschüss!



奥野晃士

充実の遊技場、トランポリーノでの1日

Grüezi!

前回のルアンくんの記事には
多くの方にご関心をいただきありがとうございました。

昨日じつはスーパーでルアンくんとママに偶然ばったり、
立ち話をしてると明日明後日とホルトにルアンくんを預けるそうで
ちょうどうちも明日明後日ホルト予約していたので、
ルアンくんの面倒を買って出てしまいました。

がんばります。

これまでも、総合遊技場や、プールなどの充実ぶりに驚いたが、

昨日はワイフが仲良くさせて頂いてる日本人のママ友二人に誘われ
トランポリーノにいってきました。

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最初は何それ?って感じでしたが、

寝てる時は天使のように可愛い娘も、
一日中娘と二人でいたりすると、トロル(小鬼)と化すおてんば盛りだし、
何と言っても子供同士遊ばせるのが一番と、お誘いありがたくお受けすることに。

しかしそもそもトランポリーノっていわれても何かわからなかったのだが、
でかい体育館の中にトランポリンやらが置いてて子供のテンションが上がる施設なのだ。

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TRANPOLINOホームページ

第一スイスの交通のシステムは少し複雑というか、
長年住んでてもよく理解できないという人もいるくらいなので、
まず目的地までの正しいチケットを買えるか………という不安、

そして、まだまだ実戦経験(娘との外出など)の少ない私が、
はたしてそれぞれ二人の子供を育てているバリバリ現役の主婦二人と、
育児の面で互角に渡り合えるか………等々、

逡巡しているうちに、はやくも当日の朝がやってきた。

まず、必要と思われるもの、

飲み物
ティッシュ
おしぼり
お昼の弁当
おやつ

オプションとして

絵本(保険として)
上着
簡単な着替え

こんなところか?

中でも昼食をどうするのかが、悩むところだった。

当日まで、どんなところかよくわかっていなかったので、
せめて屋外なのか屋内なのか、ワイフに確認しておけばよかったと思いながらも

朝一で圧力釜で実家でとれた白米を炊き、
最近はまっている”おにぎらず”を作ることにした。

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おにぎらずはおにぎりより簡単で、
手も汚れないすぐれもの。

デザートは

手近なところにあったバナナとポップコーン、
そして、4分の1の大きさのカスタードパイ(前日の夜半額でゲット)

水は水道水で充分美味しいし、
道路のそこかしこで水が飲める。

とにかくリュックにつめて、時間ギリギリで出陣!

ワイフの指示通りにボタンを押して、
終着駅のDietikonを入力、

すると
次々と訳のわからない画像がでてきたが、

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こんなのや

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こんなのが………。

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とにかく奇跡的に買えて、
チューリッヒ駅行きの14番のトラムに飛び乗り走り出して気づいたが、
乗りたかったのは同時刻に出発する80番のバス!
一駅で降り、待つこと10分で引き返し、間も無く到着した80番のバスに乗り込む。

いきなり15分以上ロス

そのことを待ち合わせしていたHさんに連絡しようと
LINEを見ると、Hさんからで

「一本早い電車で行こうと思う」

という由、

「やはり俺には子育ては向いていない………」

と、のっけから、もう、諦めの境地だったが、
とにかく約束しているHさんに状況を報告、

「今日中に着けばラッキーなつもりで伺います」

と返事を書く。

しかし、

Diedikonからバスで5分との由メールで届いたが、
駅に着いたら、ママ友たちとバッタリ会えて、事なきを得る。

トランポリーノに到着。

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これまた巨大なトランポリンをちりばめた素晴らしい遊戯施設だった。

入場するのに、

子供15フラン、大人7フラン、
ちなみに、
1フランは127円前後

子供二人だと結構大変な金額だが、
これなら体力もつくし、いい運動にもなる。

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ママ友さんたちとも、いろいろお喋りも楽しみながら、夕方まで楽しくすごせ、
さしたるトラブルもなく、
娘も大好きなさくらちゃんたちと遊べて、大満足のようだった。

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ママさんたちとの話で一番盛り上がったのが、

スイス人のモノの考え方と離婚率の話。

こちらでの離婚は45%に上るそうだ。

ある仲のいい友人夫婦を例に話してくれたのだが、
学生時代から付き合ってた夫婦で子供がまだ小さいのに、
最近別居に踏み切ったそうだ。

旦那が切り出した理由が、

「もう昔のように新鮮な気持ちで接することができない」

とかなんとか、眠たい話だったとか。

日本で別居の理由がそれだと、親戚縁者ご近所さんから総ツッコミが入りそうだが、
似たような理由で別居に至った、私と同年代で仲のいいご近所さんがうちの周りにもいる。

日本のちょっと前に流行ったCMのような

「亭主元気で留守がいい」

なんて感覚は、逆にスイスでは奇異なものに映るのかもしれない。


ヨーロッパの恋愛観で、思い出すのが、
ダンテの『神曲』地獄編にある
フランチェスカの下り。

醜い男と結婚させられることになったフランチェスカは、
美しい弟のパウロと恋に落ち、
醜い兄にパウロもろとも串刺しにされて殺される………

そんな、道ならぬ恋をしたものたちは、
死後もなお空中を漂いながら求め合うのだが、
容姿はといえば白骨の状態なのだ。

数年前にいちど水着で入れる温泉施設に行ったことがあったが、
目を見張ったのが、

日本人が見たら笑っちゃうような意味不明の漢字のタトゥー
老いも若きも飽きずにお湯の中を抱き合って漂うカップルばかり、
ロダン館の地獄の門の前で、
『セロ弾きのゴーシュ』でいつもご一緒させていただいている
チェリストの長谷川陽子さん達と動読で『神曲』に取り組んだ直後だっただけに、
お湯を抱き合いながら漂うカップルの群れに、
求め合いながら漂う無数の白骨を見る思いがしたのであった。

日本は儒教の影響が強いので、
お互いの関係性を重視するところがあるように思う。

もちろん日本人にも、一生愛し合っている夫婦も多いと思うが、
気持ちより夫婦という関係を守ろうとする人も、
かつて多かったように思う。

が、

だんだん日本も気持ち重視の方向に向かってきてるような気がするので
離婚率もだんだん上がってきているのではないだろうか?

ともあれ、

昔流行ったエスニックジョークのうち

世界から集まったユダヤ人の話題として、

「世界で最も幸福な男」は、

アメリカの家に住み、
イギリスの服を着て、
中国の料理を食べ、
日本の女を妻にした
男だ。

という答えがあるくらい、
日本人女性というのは良妻の世界ブランドのようだ。

ちなみに「世界でもっとも不幸な男」

日本の家に住み、
中国の服を着て、
イギリスの料理を食べる

もちろん不幸な男の嫁は

アメリカ人女性で意見が一致するというオチなのだが………。

思うに、スイス人の男性は、
優しいし、家事は率先してやるし、
本当に妻を大事にする人が多いので、
おすすめである。

日本人男性は………どうなのだろうか………。




Tschüss!



奥野晃士



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