静岡の歴史を読む
Grüezi.
日本を発つ前に読みそびれた本のうち、
どういうわけか静岡学問所という一冊をたまたまリュックの中に忍ばせておいたので、
飛行機の中とか読み進めるうちに、ハマった。
この学校の存在は「ふじのくに歴史演談お寺ツアー」で
龍馬を斬った男、今井信郎の物語でも登場したので、相当思い入れがある。
400万石あった徳川家が静岡に70万石に減らされて押し込められた時、
これからの世の中は教育だという勝海舟などの提言のもと、
駿府城内には静岡学問所を、沼津には沼津兵学校を作り、
海外留学を終えた秀才日本人や、外国人教師も雇って先進的な教育を施した。
残念ながら、時の新政府の方針で、先生も優秀な学生も
東大の前身である開成学校に吸収されて終わったが、
あのまま続いていたら静岡は学問の都となっていたはずである。
今井信郎の段を含め、
「ふじのくに歴史演談お寺ツアー」のほとんどの作品の原作となった
「侍たちの茶摘み唄」は、
2011年のリーディングカフェ100回記念の回で、
静大の女子大生2人によって発掘された江崎惇先生の代表作である。
写真:女子大生の一人宇田さんと、幕臣子孫の会会長の大草さん。
明治時代に静岡に移住した15代将軍慶喜の護衛として静岡に結集した
選りすぐりの精鋭隊が担った役目は、
荒地を茶畑に開墾し、茶農家として新しい時代を生きることであった。
精鋭隊の隊長中条景昭、副隊長の大草高重、彼らの他にも多くの有名人、
超一流の剣豪、文化人等々一廉の人物が入植し、彼の地に一生を捧げた。
戦う事を本分とする侍でありながら、
恭順を貫く主君に黙って付き従い、
「公」を貫き、刀を鍬に持ち替えて、
開墾事業に従事した彼らの苦労たるや、筆舌に尽くし難かったと思う。
そのおかげで日本は内戦による外国の干渉や植民地化を防ぎ、
国力を蓄え、日清、日露の勝利があり、
大東亜戦争によって日本は滅亡寸前にまで追い込まれたが、
白人の植民地支配からアジアを解放するきっかけになったとことは
世界史上大きいと思う。
そんな彼ら幕臣たちの精神が宿るお茶の名産地静岡の歴史を
ぜひ多くの人に知っていただきたいと思う。
今回はあくび庵という素晴らしい会場で、これらの侍について思いを馳せれたらと思う。
撮影:平尾正志
おくぬ~の『声に出して読む静岡の歴史』
2016年7月4日(月)19時から
会場:あくび庵(住所:葵区上足洗2丁目7-44 )
※静鉄バス上足洗線の上足洗北バス停で下車して、上足洗線のバス通りを県総方面へ約100m直進します。進行方向の左手に『いちの造園』がある交差点を左折し、約100m先の右手にあくび庵(平野邸)があります。
テキスト:『侍たちの茶摘み唄』
参加費 1500円(ドリンク、お菓子つき)
静岡の歴史の中でも、奥野のライフワークともなった牧之原の荒地を茶畑に開墾した、十五代将軍慶喜の警護のために静岡に来た幕臣の血と汗と感動の物語。30年以上前にテレビ静岡によって制作され、民会放送連盟の優秀賞を受賞した特集番組の台本をテキストに音読することによって臨場感ある世界を導きだします。知られざる静岡の歴史をぜひ堪能してください。
Tschüss!
奥野晃士