おくぬ〜の『来た球を打つ!』

スイスと日本で活動する舞台俳優奥野晃士(あきひと)のブログ。

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宮沢賢治の『オツベルと象』を前に、動読の原点

Grüezi.


いよいよ11月21日と28日、『動読』公演をスイスで行えることになった。

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きっかけは、

昨年、ウースターの日本人学校の隣の建物で朗読劇が開催されるというので、
知り合って間もない直美さんに連れて行っていただいたこと………一年近く前だ。

今回の動読劇は、

そこで『オツベルと象』を朗読上演していた押川恵美さんのお誘いで実現することになった。

恵美さんは七転舎系派生劇団の「上海劇場」への出演経験や、
あとは劇団夜行館(状況劇場から派生)の守鏡丸さんの台本をかいたり
夜行館の全国公演に出演したり、
ご自分で百鬼館という劇団を作って小屋がけ芝居をしたりして、
東京のアンダーグラウンド系の小劇団で活動していたそうだ。

七転舎の主宰者の木村真悟さんは東京で小屋付きの演劇活動を行ってきた芸術家。
早稲田小劇場や転形劇場などの考えに通じているのだと思う。
現在もストアハウスカンパニーという劇団で活動をしながら
劇場運営をされているようだ。

about ストアハウスカンパニー

とにかくスイスで日本のアングラシーンで活動経験のある表現者とお目にかかれるとは思っていなかった。

その上、大の賢治フアン、スイスにも「宮沢賢治全1冊」という本を一冊だけ持ち込んだという。
熱い思いにつきうごかされ、一人で公演活動を行ってきたそうだが、
一人では限界を感じたから演出をお願いしたいというのが、はじめの恵美さんからの申し出だった。

しかし、いつのまにか構成・演出・出演という重責を担わさせていただくことになり、
バイオリニストの赤木春次さんを紹介していただいた。

作品は恵美さんの思い入れの深い『オツベルと象』にさせていただく。

最初は恵美さんの最終目標である『銀河鉄道の夜』になりそうだったが、
まずは手堅く布石を打つ方がよいとの判断から
あえて作品はマイナーではあるが、恵美さんの十八番でのチャレンジとさせていただくことにした。

しかし、

早速出来上がったチラシなどを、出会った日本人に配ると、必ず聞かれるのが

「動読って何ですか?」

ということ。
無理もない、奥野の造語ですから………。

SPACでは2009年から『朗読とピアノの午後』という公演をおこなってた。

劇場のロビーに置いてあったスタンウェイのピアノを有効活用すべく、
大岡淳氏が演出で俳優の読みたい作品をピアニストさんとのコラボでお届けする企画。

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終演後はカフェで観客の皆様と交流しながらダイレクトに感想をいただけたりというのも
表現者として貴重な経験だし、
自己の表現の幅を広げるとてもいいチャレンジで、私も毎回参加していたのだが、
参加者の方々からよくこんな質問を受けるようになった。

「奥野さんの公演も、あれも”朗読”なんですか?それともあれは”一人芝居”になるんですか?」

そんな時私はいつも冗談で、

「いえ、あれは"朗読"ではなくて、”動いて読む”と書いて"動読(どうどく)"っていうんですよ」

それを聞いて失笑する人もいれば、

「うまいこと言いますね」

と感心してくれる人もいた。

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中でも、元々広告のプロで、静岡県内様々な所でブレーンとして活躍されてる
静岡大学の平野雅彦先生が、

>「動読って響きもいいですねー」

とか言ってくれたことがあって、
先生がそう言うなら………と思って、
それ以来、少しづつ意識して使うようになっていった。


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『平野雅彦ならこう考える』

元々、文字言語で表現された文学作品を音声言語で表現する芸術が朗読であるなら、

動読は、音声言語身体言語を加えた表現だ!といったところか………。

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感情をこめて読み上げる朗読は、
やはりアナウンサーさんや新劇俳優さん達がお上手だと思う。

特に私などは鈴木忠志氏の薫陶を受けてきたもので、
動読は基本的に、呼吸の詰め開き、音階、視線や顔の向きといった
肉体から発する情報を重視し、構成する。

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俳優の演技というのはつまるところ、
身体言葉同時に操って、情報を発信すること
だと思う。

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人々をいかに惹きつけるかということを、
心理面からのアプローチではなく、
身体面からのアプローチで構成する。

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左手に台本を持ち、右手には小道具を持つというスタイルも
奥野流と言われる部分であるが、

靴べら、しゃもじ、万年筆、フォーク………

最近はジュネーブの蚤の市でゲットした乗馬用の鞭がお気に入りだが、

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扇子を煙管や筆、釣竿など、様々な物に変化させる日本舞踊の要素を
動読にも取り入れていることに、みずから顧みて気がついた。

ゴーシュ


今や動読は、市民の皆様によって、少しづつ実行されている。
静岡大学の平野雅彦先生の授業でも、実験的に取り入れられたりもした。

稽古2

そんな、今のスタイルを確立するまでには、
様々な道のりがあったわけだが、

SPACを立ち上げ、鈴木演劇を叩き込んでくださった鈴木忠志氏をはじめ、
ロビーでの企画を実行してくださった、宮城總SPAC芸術総監督、
そして、ご無理を聞いてくださった音楽家の皆様、

何より、構成、演出を担当してくれた大岡淳氏がいなければ、
できなかったと思う。

本公演と違い、劇場のロビーの一角を借りての稽古の日々は、
公演の合間とか、千秋楽直後とかに行われたので、時間との戦いだったが、
多少恵まれていない環境に追い込まれた方が、クリエイティビティーは発揮されるものだ。

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大岡氏と、実力ある音楽家さんたちと共に取り組んだことは、
改めて自分の財産になっていると思うので、
今回スイスでの作品づくりを始めたとき、
これまでの道のりを思うと感謝の気持ちでいっぱいになる。

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その大岡氏は、この秋いよいよSPACの本拠地、静岡芸術劇場での上演が決まっている。

ギリシャ喜劇、アリストパネスの『鳥』が原作の大岡淳脚本演出の
『王国、空を飛ぶ!』である。

これまで、何作品も一緒に作品を作ってきた大岡氏初の静岡芸術劇場でのSPAC本公演で、
いわば演出家として晴れの舞台だ。

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しかも、

記念すべき私の『朗読とピアノの午後』初出演時の時コンビを組んだピアニストの渡会美帆さんが、
作曲と演奏で参加しているという。
静岡では本番直前、出演者共々テンションうなぎのぼりだろう。

そんな中、私は遠くスイスでイクメン奮闘中………なんだか焦燥感にかられるが………。

しかも、初日10月31日、皮肉にも私の誕生日である。

稽古の様子などの写真などを垣間見るだに、作品としてとても面白そうである。
スイスから公演の成功を祈っている。

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王国、空を飛ぶ!~アリストパネスの『鳥』~

そして、

昨日、今京都にいらっしゃる赤木さんと、FaceTimeで打ち合わせをしました。
まだお目にかかったことがなかったので、
一度方向性をすり合わせる必要があると思って、お願いをしました。

とにかく、かなりのベテランの方。

もともとクラッシックのバイオリニストで、
作曲も即興演奏もやったことがほとんどないという赤木さん、
最初はなかなかイメージも湧いてこないとおっしゃってたが、
普通それも無理もないこと。

あらかじめ、音楽の挿入希望箇所を記した台本を作成し、
送らせていただいていたのですが、
なかなかピンとこられないご様子だったので、
奥野が実際に声に出して読みながら、曲のイメージなどのすり合わせをした。

11月に赤木さんが日本からスイスに戻ってくるので、
バイオリンを使った稽古を早急に始める約束をする。

先月の舞語りコンサート『蜘蛛の糸』に続く、スイスでの第二弾、
頑張ります!

『オツベルと象 Otubel und der weisse Elefant』
Lesetheater 動読劇 日本語公演・ドイツ語字幕付

2015 年 11 月 21 日(土) 20:00—21:00
Theater Schwyz /Bahnhofstrasse 178 6423 Seewen / Schwyz
21.11.2015 (Sa) (Schwyz 駅下車徒歩 4 分)
http://www.theater-schwyz.ch/theater-schwyz/theater-schwyz.html

2015 年 11 月 28 日(土)20:30—21:30
Zentrum Karl der Grosse/ Kirchgasse 14
8001 Zürich 28.11.2015 (Sa)
https://www.stadt-zuerich.ch/sd/de/index/soziokultur/karl.html

入場料 Eintritt 25 Sfr Student -AHV 20 Sfr Kinder (7bis16Jahre alt )10 Sfr
Reservation emi.oshikawa@bluewin.ch
Sponsor : Kulturkommission Gemeinde Schwyz
宮沢賢治 Kenji Miyazawa・・・作 Autor
Japanisch mit deutschen Untertiteln
奥野晃士 Akihito Okuno・・・構成演出・動読 Bearbeitung, Regie, szenische Lesung
赤木春次 Shunji Akagi ・・・ヴァイオリン Geige
押川恵美 Emi Oshikawa・・・動読 szenische Lesung
白崎泰子 Yasuko Shirasaki・・・技術 Technik
企画・制作/Emi Project

スイスワンダーネット『オツベルと象』




Tschüss!



奥野晃士

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-2 Comments

yoriko says..."まさに!"
この文章、この表現、まさに私が求めていたものです。
「動読」、1日もはやく拝見したくなりました(*^^*)
2015.10.18 19:21 | URL | #SFo5/nok [edit]
kitatamaoutsu says..."Re: まさに!"
順子さま

メッセージありがとうございます。
嬉しいです!

異分野のプロの人とコラボする時は
本当に自分の実力試しみたいなことができるので、
楽しいです。

引き続きよろしくお願いします。



奥野


> この文章、この表現、まさに私が求めていたものです。
> 「動読」、1日もはやく拝見したくなりました(*^^*)
2015.10.18 20:53 | URL | #- [edit]

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