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おくぬ〜の『来た球を打つ!』

スイスと日本で活動する舞台俳優奥野晃士(あきひと)のブログ。

Bernで急遽出演!命から受ける幸福とは?

Grüezi!

今日は朝からフルートAND尺八奏者のイザベルと打ち合わせ。

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イザベルは先月『蜘蛛の糸』の際にお願いした
フルートと尺八のスペシャリスト。

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October 01 2015 スイスでの第一弾『蜘蛛の糸』で舞語りました!

イザベルが自身が演目構成でもかかわっている、
ベルンの駅前の教会で毎週水曜の12時半から開かれる
”文学と音楽と静けさ、午後のひととき”みたいなイベントへの共演の
お誘いをいただいたからだ。

そこは、

”公共教会”とでもいうのか、
市民に開かれている場所で、
イベントの趣旨も、
慌ただしい日常の喧騒から離れひとときの憩いを市民に提供する時間だそうだ。

しかも、

今回は言葉には頼れない、舞踊のみの出演。
舞踊家としてのオファーだ。
恐れ入った。

ゆうべワイフに送られてきたテキストを訳してもらったが、
なかなか奥が深い文だった。

内容は、

あるジャーナリストがヨーロッパで難病にかかり入院をする。
働き盛りの日々をベッドの上で過ごし、失意の日々を送る。
そこに、友人が病室にスミレとともに、一匹のカタツムリを差し入れる。

最初はなぜカタツムリなんか………と呆れるジャーナリスト。

しかし、翌日、手紙の封筒に四角い小さな穴が空いているのをみつける。
どうもカタツムリが食べたらしい。
そこからジャーナリストのカタツムリ観察がはじまる。


人間健康を害すると、
とても悲観的になる。

私も2004年初演の鈴木忠志演出『別冊谷崎潤一郎』ではじめて
池田友之丞という大役を任された時、

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厳しい稽古で椎間板ヘルニアになり、晴れて腰痛持ちになった。
そのまま腰痛とつきあいながら舞台に立ち続けてきたが、
2007年にはまず座れなくなり、次に走れなくなり、
そのうちまともに歩けなくなり、
年末には公演中にとうとう立てなくなった。

公演前には鈴木演劇のためなら一生歩けなくなってもしょうがないと思っていたが、
いざ公演が終わって、体の自由がきかなくなってる自分と向き合った時、
自分はまったく価値のない人間のように思えた。

そんな時、ありがたかったのが

外部からの依頼により、シニア市民の皆様に演劇を教えるワークショップを実行に移せたこと。

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あと、スノドカフェさんとの出会い、
そして、大阪や東京で立ち上げた『古典戯曲を読む会』
2008年6月から静岡でもスノドカフェを会場にやらせていただけたこと。

これらは未だに月一のペースで続けられているのだが、

稽古場を飛び出し、劇場を離れた場所で演劇を通じた
市井の人々との交流のひとときによって、
元気をもらえたし、自分の価値を見出せたように感じた。

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最近大統領の座を退いたことで、
またまた注目を集めているウルグアイのムヒか元大統領も言っていたが、
大量消費社会にいる今の世の中の人たちに、
幸福という価値観について、
とても示唆に富んだ発言をしているのを聞いた。

曰く

「幸せというのは物からは与えられない。必ず命あるものから与えられる」

プロとして自分を高めることはおろか、
舞台にカムバックできるか否か、ぎりぎりの狭間にあって、
リタイアしたシニアの方々や読む会で出会う一般の方々との交流の経験が、
鈴木忠志氏が芸術総監督を勇退したあとの、
あらたな環境において、私に命を吹き込み、変化に対応する柔軟性を与え、
身内からのバッシングにも怯むことなく、
信念を貫く強さを持てた。

その結果、現在も継続的に行われている、
『リーディング・カフェ』をはじめとする、アウトリーチ企画を生み出し、
それがひいてはSPACという組織にとっても有益な結果をもたらしたということは
今考えてもとても面白い結果だ。


ドラッガーも『マネジメント』で、

『企業の目的は顧客の創出である』ということを言っています。

この点は我々舞台芸術の業界も常に最重要課題になっている。
東京一極集中の脱却、地方からの芸術創造発信の潮流は全国に広がっているが、
『顧客の創出』ということが最も重要な課題であり、最も苦労しているところであろう。


文化事業とかをやってる人でも、
『狩猟民族的思考』で、数字をあげることにやっきになっている人が多い。

私はどうしても『農耕民族的思考』でアウトリーチ活動をやってきたようだ。

シェイクハンド


舞台芸術は生きた芸術だ。
携わるものとしては、生の交流、有機性にこだわりたいところだ。

劇場を飛び出して足を運び、語り、少数に対して、しっかり向かい合って、交流する。


命から受ける感動が、人々を幸福にするということを、
身を以て体験し、それによって救われたわけだし、
そんな恩返しのような気持ちで、今でも『リーディング・カフェ』をやるときは
ついついサービスして時間が長くなってしまうし、
『ワークショップ』の時は声がかれてしまうこともある。

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文化事業で難しいのは、すぐに結果がでないこと。
しかし、信念をもって継続していると、確実に効果が現れる。

しかし、これまでの活動を通じていえることは、
一気に20人の団体さんを客席に座らせるような派手な効果は出せないかもしれないが、
5年で20回チケットを買って客席に座ってくれる人を大勢みつけることができた。

命の交流によって感じた幸福こそ、人には必要であり、
そういう場に人は集まるのだ。

それまさに、命から感動を与えられる舞台芸術の存在意義にもつながろう。

そんなみにつまされる作品と今回出会えた。
明日が楽しみであり、緊張する。

早く寝なければ………。


明日、12時半からベルン駅前の教会にて、

halb eins – Wort, Musik, Stille

10月21日(水)12時半から

in the Heiliggeist Church in Bern

http://www.offene-kirche.ch/angebote/tag-fuer-tag-wochenangebote/halb-eins/




Tschüss!

奥野晃士


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2 Comments

says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015.10.22 01:39 | | # [edit]
kitatamaoutsu says..."Re: 感動しました~"
お元気ですか?

メールありがとうございます。

そう言っていただけて本当に嬉しく思います。

異国の地で揉まれてるうち、過去をいろいろ顧みることが多く、
考えてしまいますが、
でも、何か大義のためにぶつかっていけるのはとても幸せなことだと思います。
ぜひ開拓がんばって!またゆっくり話しましょう。

あっ、2月KAATでNoism再演が決まりました。

http://noism.jp/npe/carmen_2016_kanagawa/


ではまた今後ともよろしくお願いします。



おくの


> そんな経緯で今にいたっているんですね。渦中の心境は計り知れませんが、
> すべての経験が無駄でなく、新境地を開いてしまうまでやり遂げたことは凡人にはできません。
> 尊敬します。
>
> わたしも今、切り開こうとしています。
> がんばりますね。
2015.10.23 03:17 | URL | #- [edit]

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